ではなぜ環境問題は政治問題にならないかというといくつかの課題が挙げられます。
1.環境問題は誰が利益を得るのか特定しにくい
2. 現代から未来における課題である
3.地理的にも幅広く問題がある
4.市場に求めるだけでは解決できない問題
5. 国際協調が困難
まず、明確化された公害であれば、問題解決した後がはっきりしている為問題として認識されやすいが、環境問題はうまくはいかないということです。
次に、未来の問題であるということは簡単に言うと我慢できず、未来の子供たちの為にと言うのは簡単だが、未来のために足元にどれだけ投資ができるかという課題です。
そして、発展途上国はこれから豊かになりたいが、その為にはCO2が出てしまうという点も問題に上がります。
それから、いくら市場で環境にやさしいとは言っても、例えば同じ機能で、環境を考えた企業の方が設備投資などにコストがかかってしまい、代金が上がってしまうとマーケットでは受け入れられづらく、環境にやさしい企業が勝つとは必ずしも言えないのが現状である。このように世界中の企業が問題を抱えています。
そして最後に、先にも述べたように、先進国と途上国の問題が世界的南北問題とセットになっているということです。環境問題は理念としてはわかるが現実問題として難しいことが一番の問題です。
人は経済成長を求めると共に豊かさを求め、これまでの経済成長のプロセスを中国やインドが同じようにたどってしまうと地球は持ちません。日本やアメリカが経験したプロセスをギュッと縮め、その上でライフスタイルの変更や進展がなければならないのです。
世界では、EUが間違いなく自分たちがマーケットに進出し、主導権を握ろうとしている。排出量取引制度が発足された様に、世界は対策を取り投資した方がいいと動いているということです。アメリカ・カナダ・オーストラリアでは検討されており、今、日本が関わらなければ世界のルールを押しつけられる形になってしまうということを認識することが必要です。
企業も単なる社会貢献という枠組みで参加するのではなく真剣に取り組んでいくことが大切であるということを忘れてはいけません。世界は動き始めています。
「今後、国としてコストを抑えることばかり考えるのではなく、どう発想の転換をしていくかが問題であると思います。京都は気候変動問題に対し、世界的に貢献した都市であるので今後も一緒に取り組んでいきたいと思います。またそのことが産業・企業の経営や利益に繋がれば幸いですし、国はサポートしていく政治でありたいと思います。」と最後に京都に向けてのメッセージも頂きました。
以上の様に、国際社会が環境問題をどのように捉え、どのような課題があるのか、また、どのように解決していくのかなど、そして刻々と変化する世界情勢をわかりやすくお話し頂きました。「京都流議定書2010」一日目は盛大な拍手の中、華やかに幕を閉じました。
最後にお話しいただきました福山内閣副官房長官、お忙しい中貴重なお時間を頂きましたこと、従業員一同より心をこめてお礼申し上げます。益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
(文責:田中彩)
■京都流議定書2010レポート一覧
初日(2010年7月23日)
市民講座 『京都大学グローバルCOEプログラム 地球温暖化時代の科学拠点』
京都流議定書2010 オープニング・セレモニー
鼎談 『京都から考えるライフスタイルそして企業の在り方』
講演 『理念を基軸とするオムロンの経営の考え方』
報告講演 『大学生のCOP15会議 参加報告』
基調講演 『新しいゲームがはじまった ~低酸素社会実現に向けて~』
2日目(2010年7月24日)
ワールド・カフェ 『200人で良い会社とは?』
講演 『いい会社を作りましょう (京都フォーラム) 』
講演 『「利より信」の経営 (京都フォーラム) 』
パネルディスカッション 『素晴らしき経営を目指して (京都フォーラム) 』
3日目(2010年7月25日)
基調講演 『こうして僕は世界を変えるために一歩を踏み出した~京都で生まれたNPO 10 年間の軌跡~』
シンポジウム 『老舗の技を解析する』
シンポジウム 『-CSRは将来の利益を生み出す投資- 地域と共に生きる京の老舗企業』
OST 『京都未来創造発掘場』~学生と経営者が生み出す革新プロジェクト創出ワークショップ~
特設ブースとイベントを終えて
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